この記事をザックリまとめると…
- テック企業が発行しているクレジットカード二選を、アメリカでの日常使いに役立てられるように紹介します。
- なぜAmazonやUberが高い還元率を付与し、レストランでのクレジットカードの利用を斡旋しているのかについて考えます。
突然ですが、クレジットカードは使い分けていますか?アメリカでは、カフェでの買い物やスーパーでの食材の買い物、レストランでの食事などすべてカード一枚で完結するので、日常的にクレジットカード一枚と携帯電話しか持ち歩かないという人も結構見かけます。
2月20日にAmazonからのプレスリリースが発表されましたが、これを受けて、私が頻度高く出掛けるスーパーのランキングが変わりそうな予感がします。私は発表の翌朝、早速Whole Foods Market (以下「Whole Foods」と記載) に買い物に行ってきました。クレジットカードを一枚しか使っていなかった人も今後は複数枚持ち歩くようになるのではないでしょうか。この記事では、Baby Techから少し話が逸れますが、うまく家計をやりくりするために、日常生活で賢く使い分けたいクレジットカードについて紹介します。
Amazon Prime Rewards Visa Signature Card (※以降「Amazonカード」と記載)
Amazonが発行しているクレジットカード。年会費$99 (約10,800円) を支払ってプライム会員になると、年会費無料で入手できます。また、カード新規加入の申込みが受理されると、$70のAmazonギフトカードが貰えるのも嬉しいポイントです。

最大のメリットはこのカードを使ってAmazonでの買い物を決済すると、使用金額の5%が還元されること。それに加えて、今回の発表で2月20日より有効化されたのがWhole Foodsでの買い物でも、Amazonカードで決済すると5%還元されるということです。
Whole Foodsはオーガニック食品やこだわりの日常品を売っていて、旅行客として訪れてもとても楽しいお店です。実際に私も日本からの旅行客が来ると、Whole Foodsに案内することも多く、友人たちからはとても喜ばれます。ただ、いいものが置いてある反面、値段が高いというデメリットもありました。
しかし、昨年8月末にAmazonによって買収されてから、Whole Foodsでは多くのアイテムで値下げを実施するなど顧客をより増やす為の取り組みが行われています。それに加えて、今回の5%還元は顧客への影響が大きいと思われます。実際、買い物の際に店員さんと話したところ、「買い物客の中でもAmazonカードで決済する人が早速目につくようになった」とのことでした。
USDAは食費を倹約している家庭からお金をかける家庭まで4階層に分類し、『家庭での平均的な食費』を今年1月に発表しています。その中でWhole Foodsの顧客層と考えられる家庭で2〜5歳までの子どもが2人いる4人家族の場合、月々$1097.30 (約12万円) を食費に使用しているそうです。その人たちが全ての買い物をWhole Foodsで済ませ、Amazonカードで決済したとすると、月々約6,000円、年間で約72,000円の還元が受けられる計算になります!
余談ですが、薄切り肉は基本的には日本食スーパーでしか手に入りません。その為に食料品店を複数カ所巡る必要が生じてくるのもこの辺りでは日常茶飯事。小さい子ども連れだと、一か所行く度にベビーカーの上げ下げ、カーシートへ座らせることなど負荷がとても大きくて参っていました。そこで、Whole Foodsではお肉販売コーナーで頼むと薄切りスライスもしてくれると聞き、早速試してみることに。「豚バラをできる限り薄く、紙くらいの薄さで」と注文してみたところ、その場でスライサーでカットしてもらえました。値段も日本食スーパーで買うより安価に購入できました。求めている肉そのものとはいきませんでしたが、それは頼む部位によるのかもしれません。豚バラはお好み焼きに載せるのに丁度いいかんじでした。これから我が家ではWhole Foodsの利用機会が増えそうです。
Amazonカードは、レストランやガソリン、ドラッグストアでの使用には2%、その他の使用では1%の還元となっています。また、期間限定で2018年3月1日から2018年5月31日まで、$1,500までの利用上限付きですが、レストランでの使用で5% (!) 還元されます。
Uber Visa Card (※以降「Uberカード」と記載)
Uberが発行しているクレジットカード。Uberのアプリ上からクレジットカード申し込みをすると、カードの到着を待たずして使用可能になります。年会費無料で利用可能。最初の90日間で$500以上使用したら$100貰えるのも嬉しいところ。また年間$5,000以上利用した場合には、Netflixのようなオンラインサブスクリプションサービスに使える$50が付与されます。

最大のメリットはUberEatsを含め、レストランなどでの食事の決済での使用分については、4%還元されるということ。調べてみると、外食で4%還元を受けられるのはその他のカードと比較してもかなりいい還元率のようです。
その他、ホテル予約やフライト代金の支払いで利用した際の還元率は3%。家族で日本に帰省すると、時期によって異なりますがフライト代だけで$3,000はかかるので、その3%が還元されるとなると$90!! そして海外での利用に際しての手数料が不要なのも日本帰省時には嬉しいですね。
オンラインでの利用では2%、その他の使用では1%の還元率と定められています。Uber利用時に使用した分は還元率2%と、上記に比べると意外と低いのですが、Uberのカードは、レストランの利用やUberEats利用の際に使用して還元ポイントを貯めるというのが賢そうです。ポイントはUberやUberEatsで使用することも可能ですし、現金化することも可能とのこと。
どうしてテック企業がクレジットカードを発行するのか
ここで疑問に思ってくるのが、どうしてAmazonやUberなどのテック企業がクレジットカード業界にまで参入してくるのかということ。その答えは、彼らは顧客の買い物に関するデータが喉から手が出るほど欲しいから、に尽きます。
各企業が利用シーンによって付与する還元率を変えているのも、どの辺りの情報をより求めているのかという視点で考えるとしっくりきます。
例えば、Amazonがプライム会員に対してAmazon上での買い物に5%還元するのは、多くの非プライム会員をプライム会員へと呼び込んで囲い込みたいから。プライム会員へとアップグレードさせると、2日以内無料配送に代表されるその多種多様な特典メリットによって骨の髄からAmazonにどっぷり浸かり、逃げられなくなります。

期間限定でレストランでの使用で5%還元というのは、AmazonFreshのミールキットや食品系アイテムの品揃え、Whole Foodsの商品ラインアップへ反映させる為のデータ収集に役立つかもしれないという仮定に基づいた実験、という見方もできるのではないでしょうか。これまでAmazonでの購入に利用するだけで家に置きっぱなしだったAmazonカードを、どんどん外に持ち出してもらうための大きな一歩になると思います。
Uberは、顧客をA地点からB地点に運ぶプロセスを瞬時に最適化させるロジスティクス企業ですが、顧客が目的地に到達した後の行動にも積極的に関与しようとしています。既にUberEatsで食にも介入していますが、4%還元の対価として顧客がレストランでどのようなお金の使い方をするのかというデータを集め、UberEats商材拡充のため各地域の飲食店利用頻度を把握する、飲酒後の帰り道需要に対応するため手厚く配車を行うなど、UberEatsだけでなくUber本体のサービスにも日々反映させると考えられます。
また、ホテル予約やフライト代金の支払いで3%還元する手厚さも、旅行や出張など旅先でのUber利用頻度向上に一役も二役も買うと考えられます。実際にフライト情報を事前に入手できると、時期ごとの空港稼働状況などを予測しその空港周辺でのドライバー確保への投資拡充などの動きを進めるなど、ホテルに関しても同様ですが、事前アクションを起こすことが可能になります。また還元ポイントをUberアプリ内で使用することが主目的となるため、まとまった額が溜まっているポイントを実際の乗車で使用する (+ Uberがポイント相応の現金を全ての場合で持ち合わせる必要が無い) という流れも容易に想像できます。空港からの乗車は長距離になりがちな稼ぎ頭のピックアップポイント、そこでUberへの顧客呼び込みができればドライバーもUberもハッピーというわけです。
普段中々意識することのないクレジットカードですが、消費者の行動データが欲しくて一生懸命頑張っている企業の努力が見えてきた気がしますね。個人的には今後Amazonは決済処理や貸付など金融業としての側面がより濃くなるのではと思います (バランスシートを整えるために銀行を買収しちゃうかも?)。これからはAmazonでの買い物にはAmazonカード。食材などの日々の買い物はWhole FoodsでAmazonカード。友人との外食にはUberカード (ただし、3月末日まではAmazonカード)。友人家族と行く旅行はUberカードでAirBnBを予約し、フライトを予約。賢く使い分けて、最大の還元を受けたいところですね。
この記事作成にあたり、我が家でもUberカードの申し込みをし、Amazonから付与されていなかった$70のギフトカードに関して問い合わせをし、無事に両方完結です。