この記事をザックリまとめると…
- 営業としてフルタイムの仕事をしつつ、育児の不満を解決するために起業し、二人の子育てをしている女性起業家のKim Gavinさんにインタビューしました。
- Kimさんの経歴、起業にいたった背景、日々の生活、母としての工夫や時短方法をお伺いしました。
世の中には、専業主婦で子育てに邁進する方もいますし、仕事をやめずにワーキングマザーの生活を送っている人もいます。子育てに関しては、いろんな環境下でそれぞれ皆悩みながら、皆日々工夫してやりくりしているんだろうな。そういう話を聞いて、シェアして、取り入れられるところはどんどん日々の生活に取り入れられるといいな。
そういう思いから、いつか色んな人にインタビューを展開していきたいと思っていましたが、今回第一弾としてMonkey KID Sensorの産みの親であり、2人の子どもの親であるKim GavinさんにSkypeでのビデオ電話インタビューをさせてもらうことになりました。Kimさんの経歴、どうして起業にいたったのか、日々の生活はどんな感じかを聞きました。そして、母としてのライフハックや、日々時短のために取り入れているテクノロジーやサービスに関してもお伺いしました。実際のインタビューは英語で行われたので、今回は私の意訳版でお届けします。

Natsumi:
今日はお時間いただき、ありがとうございます。
Kimさん:
こちらこそ。どんな話ができるか、私も楽しみにしていました。家は子ども達にスペースをどんどん取られてしまって、私専用のオフィスがないので、カフェで仕事をすることが多いんです。今日もカフェから繋いでいるので、もし聞きづらいとか不都合があったら言ってくださいね。
Natsumi:
ネットワーク状況、大丈夫です。Monkey KID Sensor (以下、”Monkey”と記載) を作っているスタートアップの会社で、オフィスを構えているのかと思ってました。それでは、まずはご自身の経歴や起業に至った背景を教えてもらえますか?
Kimさん:
はい、私はFortune500入りする医療機器を作るテクノロジーメーカーで営業やビジネスパートナーとしての20年の経歴を持っています。この間に、30以上の新しい製品ローンチに携わってきました。
Natsumi:
そうなんですね。その経験って、Monkeyを開発して、これからマーケットで大きく展開させていくという場面ではすごく役に立ちそうですね。
Kimさん:
そうなんです。テクノロジーや製品ローンチ、マーケット調査、アイディアを製品化するなどのすべての面において、営業やビジネスパートナーとしての経験がとても活きています。起業に至った背景ですが、個人的な子育てにおける経験が発端となりました。きっかけは3年ほど前に当時3歳だった娘を友人のお誕生日会で見失ってしまったことです。パーティー会場は閉ざされた空間だったはずなのに、なぜかドアが開いていて、そこから外に出てしまっていました。結局彼女は会場から出てビルの入り口まで自分で戻り、ロビーで待っていたのですが、見つけるまでの約6-7分の間、パニックで心臓が止まるほどに焦って気が気ではありませんでした。
その後、子どもを実際に紐で繋いでおく以外の方法で、このような経験を防ぐことはできないか、と他の親たちと話をしていると、みんな似たような経験があったんです。それぞれの対策方法を聞いてみましたが、目立つ色の上着を着せることだったり、買い物に行ってもカートから子どもを出さずに座らせたままにしておくことだったり、外出を極力控えることだったり。電化製品を取り扱っているお店に出向いて、その時点で入手可能なアイテムを実際に見に行ってみると、値段が高かったり、実際にはキッズフレンドリーでなかったりしていました。そこで、なんとか手頃でシンプルに対策が打てないものかと考えるところから商品の開発に繋がりました。
実際にMonkeyの開発に入りましたが、Bluetoothを使ったハード側とアプリの開発はそれなりに早くできたんです。2017年8月にはiTunesにアプリの申請をしていたんです。大変だったのはアクセサリーデザイン (基板をどのような見た目のケースに入れるか) でした。子どもにとって負担にならないデザインとして、靴につけるというアイディアを実現させたかったんですが、いいデザインが思いつかなくて煮詰まっていました。
Natsumi:
結局、そのデザインはご自身ですべてなされたんですか?
Kimさん:
それが、また子どもに導かれたかのようなんですけど、近所の子どものお誕生日会に参加していたご近所さんのママが大きく助けてくれたんです。彼女は中国出身で、あまり英語が堪能でなかったので普段は口数が少なくて以前はあまり話したことがなかったんです。ただ、そのパーティーで、私がMonkeyについて彼女に話してると、実は彼女は中国からアクセサリーの輸出入業を行っていて、中国の工場との繋がりもあるし、彼女自身がデザイナーとしての経験もあるというんです。偶然の出会いにびっくりして、すぐにMonkeyを家に取りに戻って、デザインアイディアに関して二人で話し始めました。
短距離ランナーやマラソン選手が靴につけるデバイスなどを研究しながら、中国の工場と4ヶ月に渡って密にやり取りを続けました。この時、彼女が中国語が堪能だったおかげでどれだけのタイムロスが防げて、コミュニケーションミスを防げたかと思うと、本当に感謝しています。そして出来上がったのが今のアクセサリーの形です。そういこうしているうちに、2017年12月19日にiTunesからの承認をもらい、それと同時にすぐに1月のCESに出るための手続きをしました。絶対にCESに出なきゃいけないと思ったのよ。参加申し込みやホテルやフライトの手配、何もかもが直前でバタバタでした。
Natsumi:
そうだったんですね。CESは1月9日〜12日というスケジュールでしたから、その間一ヶ月もなかったんですね。スピーディーな判断、さすがですね。ところで、20年間勤めた企業はいつ辞められたのでしょうか?
Kimさん:
その仕事は辞めてないんです。今もフルタイムで働いています。あと一年くらいで辞めて、Monkeyに専念するのが今の目標です。
Natsumi:
そうだったんですね!てっきり、Monkeyのスタートアップ業のみをされているのかと思っていました!そしたら、フルタイムの仕事をしつつ、スタートアップ業を行いながらの子育てで、とても忙しいんだろうなとは容易に想像ができるのですが…ここから日々の生活についての質問に移行させてもらいますね。ワーキングマザーとしての日常はどのようなスケジュールで送られていますか?
Kimさん:
まず、平日は朝から夜までのフルタイム業があるので、私の今の生活は家族の協力があるからこそ成り立っている状況です。夫や子どもには中々自分がしたいだけの時間を割けられないのが現状ですが、量よりも一緒に過ごす時間の『質』を重要視するようにしています。Monkeyを手がけてからもう3年ほどになりますが、子どもたちもMonkeyを自分のこととして考えてくれています。
子ども達は今7歳と8歳になるのですが、スウェーデンからのオペア (※アメリカではよく耳にするプログラムです。オペアは、ホストファミリーの家にホームステイしながら、その家の子どもの面倒を見て報酬を貰います。自己負担があまりかからない留学プログラムとして人気です。) の女の子が来てくれています。朝は彼女の助けを借りているので、私は6時頃のなるべく早い時間から1時間程はパソコンに向かってメールの処理を行います。
日中はフルタイムの仕事をしています。基本的には1日8時間です。ただ、私は営業職なので、ある程度場所や時間を自由に扱えるので、今日みたいにランチの時間をスキップしてカフェで作業するなんていうこともあります。
仕事が終わって家に帰ると、もう夜なのですが、なるべく夜ご飯は夫婦のどちらかが料理をするようにしています。子どももベーキングが好きなので、よく手伝ってくれています。そして、子どもの寝かしつけが終わったら、そこから大体2時間程は仕事時間に充てています。
日曜日はMonekyデーです。Monkey関連でやるべきことが溜まっているのを一気にこなしていきます。普通なら日曜日は家族サービスの日で、家族との時間を大切に過ごしたいんですけどね。本当に自分で会社をやっていくって簡単じゃなくて、家族みんなにとって不公平な気分になって、辞めたくなるようなこともあります。でも、折角家族みんなが応援してくれているし、やっぱり自分が信じたことはとことんやって、子ども達にとってのいい手本になっているといいのですが。
娘がパソコンに向かうのが好きなんです。ゲームをするとかじゃなくて、最近本を一冊書き上げたんです。これが、私の働く姿を見ている影響だといいなって思っています。
Natsumi:
そうですか。忙しい中でも、夕食には家族で食卓を囲み、手作りのご飯を食べるっていうのは素敵ですね。家族みんなが同じベクトルを持っているという感じがしますね。それでは、ママハック、母としてのライフハックがあれば教えてもらえますか?Baby Techなどのテクノロジーを利用しているなどもあれば是非教えてください。
Kimさん:
ママハックというと、子どもと一緒にシャワーを浴びるですかね。一緒に浴びることでシャワーの時間が半分に節約できます。あとは、子どもがリクエストしてくる遊びに、時間の都合がつく限り答えてあげたいし、出来るだけ子どもと関わりたいと思っているので、例えば今はまっているのはスライムで遊ぶこと。一緒になって子どもと遊びますが、その時にMonkeyを身につけてもらって、写真を撮らせてもらいます。それがMonkeyのSNS上で、シェアできるので、私の仕事にも子ども達に協力してもらって、役立っています。
Baby Techでは、今は二人ともにMonkeyを付けているくらいです。 Monkeyは、子ども達がiPhoneを持つようになるまでは私の心の安心材としてずっと使うつもりです。
私の自由時間が本当に限られているので、時間という贅沢なものを手にいれるためであれば喜んでお金を払います。時間をいかに節約するか、またどのようにマルチタスクをこなせるようにするか、というのを常に考えていて、それに役立つものであれば、今後もどんどん取り入れていきたいです。
普段の買い物は全てオンラインで済ませるようにして、買い物に掛かる時間を大幅に短縮させています。食材の買い物は基本的にFreshDirect (ニューヨーク周辺のみで稼働しているオンラインで食材をオーダーすると配送してくれるサービス) やInstacart (近くのお店から買い物代行して届けてくれるサービス)を使っています。あとは、Blue Apron (レシピと必要な食材が入ったミールキットを配送してくれるサービス) も使っています。
あとは、フィットネスもアプリを使っています。ジムのクラスは60分程度で開催されているものが多く、クラスの前後で他の人と会って話をするソーシャルの側面も強いですが、本当に必要なトレーニングの部分だけだと、同じ内容をアプリを使うと30分で完了できると思います。なので、私はカーディオ (有酸素運動) に関してはPELOTONを利用しています。やりたい時間に、約30分のクラスを自宅から受けることができるのでジムのクラスに参加することを考えると約1時間の節約になっています。ヨガなどもフィットネスアプリを使って家でやっていると、子ども達も喜んで一緒にやりだすので、家族の交流の時間にもなっています。
また、私がInstagramなどにMonkeyの写真を一つポストするのに大体1時間くらいかかっているのですが、そういったSNSをマネージメントしてくれる人を最近FIVERRで採用しましたし、色んな専門家に委託する際にFleerancer.comなども使っています。これらもプロジェクトベースで案件を委託できるし、プラットフォーム上で色々やりとりができるため、不必要な電話会議をやらなくていいという点でも私の時間を節約する助けになっています。
Natsumi:
色んな話を聞かせていただき、ありがとうございました。今後も益々ご活躍されることを楽しみにしていますね。

子どもと過ごすための時間が何よりも贅沢なものだというKimさん。時間がない中でも、なるべく子どものために家で料理するようにしているという点や、できる限り運動するように工夫しているという点から、家族及び自分の健康管理にも気を使っているのがひしひしと伝わってきました。現在販売中の第一世代のMonkeyはアメリカ国外での販売に向けて、各国での販売に必要なライセンス取得の対応中だそうです。そして、第二世代への検討を並行して行っているそうです。Monkeyに関しては、この記事を是非読んでみてください。
フルタイムの仕事をしつつ、自分で起業し、更に母親業にもできる限りの力を注ぐ彼女とのインタビューでは、私自身にとって、日々の時間の使い方を見つめ直すいい機会になりました。